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労災と公的年金、両方とももらえます



労災事故のため、障害が残ったり、もっとひどい場合に死に至ったりすれば、労災保険からの補償が受けられます。

同時に厚生年金等公的年金についても障害生年金や遺族厚生年金を請求することができます。

このような場合、労災保険からの給付と公的年金の障害給付を2つ同時に受給することができるのでしょうか。

 

目次

労災補償の内容

業務上の理由や通勤による事故等のためにけがや病気になった場合には労働災害事故として労働者災害補償保険(労災保険)の補償が受けられます。
(以下は通勤事故を除いて業務上の災害を前提に記述します。業務上の事故と通勤事故とでは補償内容は大きな違いはありません。)

補償の第1番目として、そのけがや病気の治療のために自分の負担なしに治療を受けることができます(療養補償給付)。

またその労災事故のために会社を休まざるを得なくなった場合には賃金に変えて一定の補償を受けることができます(休業補償給付)。

1年6ヶ月経ってもそのけがや病気が治らない場合には休業補償給付に代えて、傷病補償年金を受けることができます(傷病補償給付)。

そしてけがや病気が治ったときに障害が残った場合には、障害の程度に応じて障害補償年金(1級から7級)または障害補償一時金(8級から14級)が支給されます(障害補償給付)。

万一その障害がもとで死亡に至ったときにはその遺族に対して遺族補償年金が支給されます(遺族補償給付)。

公的年金の障害年金・遺族年金

一方公的年金においても、労災給付の原因となった事故と同じ事故を原因として障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)を受給することができます。
またその事故が原因で死亡に至ったときは遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)を受給することができます。
この結果、これらの諸給付のうち、労災保険の傷病補償年金・障害補償年金は公的年金の障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)と一緒に受給することができます。
また労災保険の遺族補償年金は公的年金の遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)と一緒に受給することができます。
ただし、給付の全額を受給できるわけではありません。
同一の傷病を原因として労災給付と年金給付を同時に受給する場合には労災給付の側で調整をする、すなわち労災給付を一部支給停止することになっています。

労災給付を調整する

それでは労災給付の調整はどのように行われるのでしょうか。
公的年金の受給のあり方に応じて次のようになっています。

1. 障害厚生年金と障害基礎年金を受給している方
傷病補償年金及び障害補償年金の支給率は0.73(27%の支給停止)

2.障害厚生年金を受給している方
  傷病補償年金の支給率は0.88、障害補償年金の支給率は0.83

3.障害基礎年金を受給している方
  傷病補償年金及び障害補償年金の支給率は0.88

4.遺族厚生年金と遺族基礎年金を受給している方
  遺族補償年金の支給率は0.80

5.遺族厚生年金を受給している方
  遺族補償年金の支給率は0.84

6.遺族基礎年金を受給している方  
  遺族補償年金の支給率は0.88

なお、労災の障害補償給付のうちの障害補償一時金と、遺族補償給付のうちの遺族補償一時金については障害年金や遺族年金との調整はありません。

支給事由が異なる場合

以上は、同じ傷病で労災と年金を受給する場合の調整です。
たとえば心臓にペースメーカーを入れていて障害基礎年金2級を受給している人が労災事故で半身不随になったとした場合、労災給付と老齢基礎年金の調整は行われません。障害基礎年金の支給事由と労災給付の支給事由が異なるからです。
人工透析をしていて障害基礎年金2級を受給している方が、その父親が労災事故で亡くなって労災保険の遺族補償年金を受給する場合、障害基礎年金と遺族補償年金の間では調整は行われません。

労災の年金給付と20歳前障害基礎年金の支給停止

20歳前障害基礎年金を受給している人が労災から年金の給付を受ける時は20歳前障害基礎年金はその間支給停止になります。

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