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障害年金の受給要件

障害年金を受給するには、次の3つの要件が必要です。

1.加入要件
初診日に国民年金・厚生年金・共済年金のいずれに加入していたかによって、受給できる年金の種類(障害基礎年金・障害厚生年金・障害共済年金)が決まります。
2.納付要件
初診日の前日時点で、次のいずれかを満たしていることが必要です。
①初診日の属する月の前々月までの被保険者期間において、保険料納付期間と保険料免除期間(納付猶予期間・学生納付特例期間を含む)が3分の2以上あること。
②初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に、保険料の未納期間がないこと。
3.障害状態該当要件
障害の状態が、法律や厚生労働省が定めた「障害認定基準」に該当している必要があります。

  • 初診日について

    初診日とは、障害の原因となった傷病について初めて医師または歯科医師(以下「医師等」という)の診療を受けた日を指します。 具体的には、次のような場合が初診日とされます。

    ①その傷病で、初めて診療を受けた日(治療行為または療養に関する指示があった日)。
    ②同じ傷病で担当医師(医院等)が変わった場合には、はじめに医師等の診療を受けた日を初診日とする。
    ③誤診の場合であっても、正確な傷病名が確定した日ではなく、誤診をした医師等の診療を受けた日を初診日とする。

    また初診日には、次のような例外的な取り扱いがあります。

    ①障害の原因となった傷病を患う以前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、その傷病の初診日を障害の原因となった傷病の初診日とする。
    ②先天性の知的障害(精神遅滞)がある場合は、出生日を初診日とする。

    初診日の特別取扱い―相当因果関係

    初診日の特別取扱い
    ―相当因果関係

    前の疾病または負傷がなければ、その後の疾病(負傷は含まない)が起こらなかったであろうと認められる場合には、両者の間に「相当因果関係あり」とみなされ、前後の傷病は同一傷病として取り扱われます。その場合、初診日は前の傷病の初診日となります。
    「相当因果関係あり」とみなされる具体的な例は次の通りです。

    ①糖尿病と糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性壊疽、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症
    ②糸球体腎炎(ネフローゼを含む)、多発性のう胞腎、慢性腎炎に罹患し、その後慢性腎不全が生じた場合
    ③肝炎と肝硬変
    ④結核の化学療法による副作用として聴力障害が生じた場合
    ⑤手術等による輸血により肝炎を併発した場合
    ⑥ステロイドの投薬による副作用で大腿骨頭無腐性壊死が生じた場合
    ⑦事故または脳血管疾患による精神障害がある場合
    ⑧肺疾患に罹患し手術を行い、その後呼吸不全が生じた場合
    ⑨転移性悪性新生物で、転移であることを確認できた場合

    なお、次の例は「相当因果関係なし」として取り扱われますので、ご注意ください。

    ①高血圧と脳出血または脳梗塞
    ②近視と黄斑部変性、網膜剥離または視神経萎縮
    ③糖尿病と脳出血または脳梗塞

  • 障害認定日について

    障害認定日は原則として、
    ①障害の原因となった傷病についての初診日から起算して1年6ヵ月を経過した日
    ②①の期間内にその傷病が治った場合には、その治った日
    とされます。

    障害認定日の特例

    障害認定日の特例

    次に挙げる日は、初診日から1年6ヵ月を経過していない場合であっても、障害認定日とされます。

    ①人工骨頭または人工関節を挿入置換した場合は、挿入置換を行った日
    ②心臓ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、人工弁等を装着した場合はその装着日(障害等級は原則として3級)
    ③人工肛門または新膀胱の増設、尿路変更術を施術した場合は、増設・手術を行った日(障害等級は原則として3級)
    ④肢体の切断または離断による障害の場合は、原則として切断または離断をした日
    ⑤喉頭・眼球の摘出の場合は、摘出または用廃した日
    ⑥在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日
    ⑦人工透析療法を行っている場合は透析を受け始めてから3ヵ月が経過した日(障害等級は原則として2級)
    ※初診日から1年6ヵ月を経過した後に人工透析療法を始めた場合には、その後3ヵ月経過を待たずに、事後重症の障害年金を請求することができます。

  • 障害年金の3つの請求方法

    障害年金の請求をする場合その請求事由は、どの時点の障害状況に基づき請求するかに応じ、「障害認定日請求」「事後重症請求」「“初めて2級”による請求」の3つに分類されます。

    請求事由ごとの請求方法・受給時期

    請求事由ごとの
    請求方法・受給時期

    請求事由ごとの請求方法・受給時期については、次の通りとなります。

    ①障害認定日請求…障害認定日の障害状況が、障害等級に該当することによる請求。診断書は障害認定日分のものを提出します。障害認定日分の診断書とは、障害認定日以後3ヵ月以内の日の現症を書いた診断書を指します。障害年金は、障害認定日の属する月の翌月分から支給されます。

    ②事後重症請求…障害認定日においては障害等級に該当しなかったが、その後65歳に達する日の前日までに症状が悪化し、障害等級に該当したことによる請求。この請求は、65歳に達する日の前日までに行う必要があります。診断書は請求日分のもの(障害年金請求日前3ヵ月以内の日の現症を書いた診断書)を提出します。障害年金は、請求した月の翌月分から支給されます。

    ③“初めて2級”による請求
    2級以上に該当しない障害を有する人が新たに傷病にかかり、その傷病(基準傷病)の初診日以後65歳に達する日の前日までの間に、基準傷病による障害(基準障害)と前の障害とを合わせた障害の程度が、初めて1級または2級の障害に該当した場合の請求。
    基準傷病は加入要件および保険料納付要件を満たしている必要がありますが、前の傷病については初診日における加入制度や納付要件を問いません。
    診断書は、前発の傷病・基準傷病それぞれの請求日分のものが必要です。障害年金は、請求した月の翌月分から支給されます。

  • 障害基礎年金・障害厚生年金

    障害年金の制度には「障害基礎年金」「障害厚生年金」」の2種類があります。それぞれ請求方法や用意する書類、受給時期などが異なっています。
    初診日に加入していた年金制度に応じて、どちらか、もしくは両方が支給されます。

    各種障害年金の具体的な相違点

    各種障害年金の具体的な相違点

    ①障害基礎年金の給付
    障害基礎年金は1級と2級があり、1級の年金額は2級の年金額の1.25倍となっています。いずれも「子」についての加算があります。
    加算の対象となる「子」とは、
    ・18歳になった後の最初の3月31日までの子
    ・20歳未満で障害等級1級・2級の障害状態にある子
    を指します。

    ②障害厚生年金の給付
    障害厚生年金には1級・2級・3級があり、1級の年金額は2級の年金額の1.25倍となっています。
    1級と2級については、配偶者の加給年金額が加算されます。また同時に、障害基礎年金の1級もしくは2級も支給されます。
    3級に該当しない人でも、障害手当金(一時金)が支給される場合もあります。