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「脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)」の場合の診断書はどれを使うか


この病気はまだ未解明の部分もあり、多くの人が悩んでいます。めまいや吐き気があり、体がだるく、やがて動くことができなくなる場合もあります。原因がつかめなくて、あちこちの病院を渡り歩くようなことになってしまいます。大病院の脳神経外科に早めに行くことが大切です。

目次

「脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)」はどのような病気か

「脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)」とは、交通事故や転倒など頭部への強い衝撃で脳や髄液を覆う硬膜に穴があき、脳脊髄液(髄液)が持続的ないし断続的に漏出することによって、脳脊髄液が減少し、頭痛、頸部痛、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠・易疲労感などを引き起こすと考えられている疾患です。
頭痛、めまいなどの症状は、座位、起立位の状態で強く現れ、臥位(横になること)で軽減します。

「肢体の障害用診断書」と「その他障害用診断書」

脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)」は厚生労働省年金局においても障害年金の認定が困難な疾患の一つと位置付けられています。
平成24年3月には「肢体の障害用診断書」による認定事例が厚生労働省から提供されました。以来基本的には「肢体の障害用」診断書によって認定されてきました。
しかしながら「脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)」においては、障害の部位が肢体に限られず、肢体の障害用診断書にその内容を記載することが困難であり、この病気特有の症状が評価されにくい、という指摘も強く寄せられてきました。
このようなことを踏まえ、厚生労働省は平成29年7月、「その他診断書」(正式名称は「血液・造血器その他の障害用診断書」による認定事例を提供しました。
これに伴い、「脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)」による障害については、以降「その他診断書」による障害認定も可能とされるようになりました。
請求者の症状が正しく反映されるように、「その他診断書」「肢体の障害用診断書」のいずれの診断書を用いてもいいということになったわけです。

診断書作成上の留意点

また「脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)」で障害年金を請求する場合、診断書の記載事項等について次の諸点が公表されています。

「その他障害用診断書」の記載事項

1.「その他障害用診断書」においては➀~⑩の欄及び次の諸欄は必ず記載されていなければならない。
⑫一般状態区分表
⑮その他の障害 1.症状
⑯現症時の日常生活活動能力及び労働能力
⑰予後
また医師から、日常生活に関する指導が行われている場合にはその内容を「⑨現在までの治療の内容、反応、期間、経過、その他の参考となる事項」欄に記載していただくこと。
ブラッドパッチ(硬膜外自家血注入療法)等が行われている場合は⑨手術歴欄にその内容を記載していただくこと。
脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)に関する検査が行われている場合は⑮2検査成績欄に検査の内容と結果を記載していただくこと。

「肢体の障害用診断書」の記載事項

2.「肢体の障害用診断書」においては➀~⑨の欄及び次の諸欄は必ず記載されていなければならない。
⑱日常生活動作の障害の程度
⑲補助用具使用状況
⑳その他の精神・身体の障害の状態
㉑現症時の日常生活活動能力及び労働能力  

日中の臥位時間や日常生活の状況・労働能力

3.「脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)」に関し、「その他診断書」または「肢体の障害用診断書」を年金事務所窓口で手交する際に「診断書を作成される医師の皆様へ」という文書も添付することとなりました。
その医師あて文書において「作成上の注意事項」として次の点を要望しています。
➀平均的な日中(起床から就床まで)の臥位の状況を必ず記載する
➁障害年金請求者がどのようなことに生活の不自由さを生じているか、他人の介助・援助が必要か、日常生活の状況や労働能力はどうか等についてできるだけ詳しく記載する
③記載欄
「その他障害用診断書」の場合
  「⑯現症時の日常生活活動能力及び労働能力」欄
「肢体の障害用診断書」の場合 
  「⑳その他の精神・身体の障害の状態」欄

④記載例
『まっすぐ立つことができず、常に前傾姿勢である。10分以上の歩行や立位の保持が不可能で、家族の援助がないと家事を行うのが難しい。一人での外出が困難であり、買い物等がほとんどできない。日中の半分くらいは横になっている。フルタイムでの勤務は不能。立位での仕事不能。』

頭痛、めまい、耳鳴り等の症状のため、軽い病気と考えがちですが、脳にかかわる病気ですので、できれば検査機器の充実している大病院の脳神経外科に早目に受診することが必要と思われます。

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